2008 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物における異質細胞質型雄性不稔性の発生機構の解明
Project/Area Number |
08J04142
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
品田 智隆 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Brassica oleracea / CMs / マッピング |
Research Abstract |
orf72特異的プライマーを用いて、アブラナ科野生種でのorf72の増幅を調査した。系統樹とorf72の増幅の結果を比較すると、orf72はBrassica lineageの進化と共に発生し、B.oleraceaやB.rapaの進化の際に失われたと推測される。orf72が増幅したアブラナ科野生種において、orf72を有している種ではorf72の発現は抑制されていた。orf72と核の発現抑制遺伝子(稔性回復遺伝子)はセットで所持しているものと考えられた。orf72の存在の有無は、細胞質小器官のDNAの増幅に関わるSSS(sustoichiometric shifting)の機構と関連しているのではないかと推察した。SSSの機構により、アブラナ科植物内ではorf72を有する種、持たない種が分化し、orf72を有する種では稔性回復遺伝子が発達したと考えられる。遠縁交雑はこの組み合わせがかく乱され、orf72を有する種とorf72を有さない種が組み合わさった場合、orf72を持つが稔性回復遺伝子がない状態となる事でCMSが引き起こされると考えられる。F_2集団の表現型は可稔個体と部分可稔個体、不稔個体の分離比が12:3:1となった。この分離比から、mur型CMSの稔性回復は2遺伝子支配(Rf1、Rf2)であると推測した。Rf1は完全な稔性回復に関わり、Rf2は部分稔性回復に関わる遺伝子座と定義した。そこで、CMS系統と稔性回復系統のF_2集団を用い、AFLPにおいて可能なプライマーの全組合せである4,096のプライマー対を用いて、多型解析を行った。可稔個体のみで検出された75個のAFLP増幅断片のうち、51個においてF_2集団で連鎖解析を行った。連鎖解析の結果、Rf1と26.4cM、28.3cMの距離に連鎖する2つのAFLPマーカー、Rf2とそれぞれ2.1cMの距離で連鎖するAFLPマーカーを作出することができた。これらのマーカーをEST情報を利用して作成したB.oleracea染色体地図上に位置づけた。Rf2に2.1cMの距離で近接するAFLPマーカーが第8染色体末端に座乗することがわかった。
|
Research Products
(1 results)