2008 Fiscal Year Annual Research Report
土壌凍結地帯における土壌中での亜酸化窒素生成動態の観測とその制御要因の解明
Project/Area Number |
08J04158
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
柳井 洋介 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター寒地温暖化研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 土壌凍結 / 亜酸化窒素 / ガス透過性膜 / クローズドチャンバー法 / 省耕起栽培 / 自動連続観測 / 微小嫌気部位 / ガルバニ電池式酸素センサー |
Research Abstract |
凍結土壌中おけるN_2O蓄積動態を観測する方法を確立した。シリコンチューブを拡散チャンバーとして装着したガスサンプラーを作成し、北海道農業研究センター(北海道河西郡芽室町)内の秋撒き小麦を作付した圃場(省耕起区と慣行耕起区の計2区)の4深度に埋設した。土壌ガス中N_2O濃度と地表面からのN_2O排出の観測を2008年10月初旬に始めた。この際、前年度の予備観測結果に基づき、土壌ガス中N_2O濃度が高くなる時に生じる酸素濃度の低下を計測するため、作成したガスサンプラーにガルバニ電池式酸素センサーを搭載してデータロガーでその出力を回収する自動連続観測系を構築した。これら観測系を、無作付の圃場で積雪を管理することで土壌凍結深を促進させる除雪区・圧雪区および融雪日を早める融雪材散布区と積雪を管理しない対照区(計4区)にも設置し、2008年10月中旬から観測を始めた。11月中旬から土壌凍結が発達し、1月中旬に40cmを超えて積雪するまでに約10cm深まで土壌が凍結した。その積雪を除去または圧密することで、3月上旬にかけて凍結深は約40cmまたは約30cmにまで到達した。2月・3月の積雪した状態では、土壌ガス中N_2O濃度は経時的に高くなったが地表面排出はほとんど生じなかった。10cm深の土壌ガス中N_2O濃度は、作付した区では無機態窒素含量と土壌水分量がより高かった省耕起区で高く、また無作付の区では土壌凍結が深いほど高かった。土壌ガス中N_2O濃度が最も高かった除雪区では酸素濃度の低下が示されたが、他の区では酸素濃度の低下はわずかであった。これらのことから、作成したガスサンプラーで凍結土壌中でN_2Oが蓄積することは確認できたが、その生成過程は酸素濃度低下時に生じる微生物反応である脱窒以外を考慮する必要があるか、本サンプラーでは検出できないような微小嫌気部位で脱窒が生じている可能性が考えられた。
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Research Products
(7 results)