2009 Fiscal Year Annual Research Report
土壌凍結地帯における土壌中での亜酸化窒素生成動態の観測とその制御要因の解明
Project/Area Number |
08J04158
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
柳井 洋介 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター・寒地温暖化研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 土壌凍結 / 寒冷地農業 / シリコンチューブ法 / 微気象観測 / 土壌ガス濃度 / 温室効果ガス / 脱窒 |
Research Abstract |
土壌凍結地帯において初春にみられるという亜酸化窒素(一酸化二窒素,N_2O)の大量放出現象の実態を解明するため、地表面からのN_2O放出速度の観測と並行して、気象・積雪・土壌凍結融解動態ならびに土壌中ガス濃度の計測を2008年11月から開始した。北海道農業研究センター芽室研究拠点(北海道河西郡芽室町)内に立地する無作付の畑地(黒ボク土)に試験区を設置した。雪を自然状態のまま維持する区を対照とし、除雪して土壌凍結を発達させる区、融雪材を散布して消雪を促す区をそれぞれ10m四方の大きさで設け、その一画に2m四方のガス観測部を配置した。同様の試験区を北海道農業研究センター本所(北海道札幌市豊平区羊ヶ丘)内の無作付の畑地(黒ボク土)にも設置した。11月初めから4月末まで(冬から春にかけて)のN_2O放出量は-0.1から1.95kgNha^<-1>の範囲にあり、これは最大凍結深(0.03-0.41m)と有意な正の相関を示した(r=0.951**)。最大凍結深がより深い試験区では、冬から春にかけてのN_2O放出量は年間放出量の58-85%を占めた。土壌凍結深が最大であった区では0.1m深において土壌ガス中N_2O濃度は46ppmにまで上昇し、同時に酸素濃度が12%にまで低下した。この結果を受け、同様の観測を2009年11月から引き続き行った。土壌凍結深は芽室除雪区が最大で0.49mとなり前年に匹敵するN_2O放出が融解期に生じることが予想されたが、N_2O放出速度は4月3日の最大値112μgNm^<-2>h^<-1>を境に減少傾向にあった。土壌ガス中N_2O濃度は0.1m深で33ppmまで上昇したもののそれ以下の深度では濃度上昇は見られず、また土壌ガス中酸素濃度の低下もほとんど見られなかったことから、2010年春にはN_2Oの大量放出および土壌中での顕著な生成は生じなかったと考えらえる。
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Research Products
(12 results)