2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04163
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 彩織 Nagoya University, 生命農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | あて材 / 遺伝子 / ラッカーゼ / ペルオキシダーゼ / 針葉樹 / ヒノキ / リグニン |
Research Abstract |
針葉樹の樹幹が何らかの原因で元来の正しい向きから外れてしまった場合、その傾斜下側には圧縮あて材と呼ばれる通常とは異なる組織が形成される。あて材部では、特異な成長応力が発生しており、玉切りや製材時に割れや狂いの原因となって利用歩留まりを著しく低下させている。そのため、木材のより効率的な利用にはあて材形成機構の理解が不可欠である。そこで平成21年度には、1.あて材の発達程度と遺伝子発現量の対応、2.in situハイブリダイゼーション法による遺伝子発現場所の可視化の2つのテーマについて研究を行った。 1.あて材の発達程度と遺伝子の発現量の対応 支柱を立てずにヒノキの苗木を育て自然に姿勢を回復させることで、1個体の苗木中からさまざまな発達程度を持つあて材試料を採取した。これにより、個体差を排除した上で遺伝子発現量を議論できるようにした。モノリグノールの脱水素重合に関わるとされるラッカーゼとペルオキシダーゼについて各部位での遺伝子発現量を比較したところ、ラッカーゼは苗木の姿勢が回復し、あて材の発達程度が低くなるにつれて発現量が少なくなることが分かった。一方、ペルオキシダーゼは、あて材の発達程度によらずほぼ一定量発現していることが分かった。 2.in situハイブリダイゼーション法による遺伝子発現場所の可視化 来年度以降に着目した遺伝子の時間的・空間的な発現様式を探るため、まずはヒノキでin situハイブリダイゼーションを行うための条件確立を目指した。ハウスキーピング遺伝子であるサイクロフィリンのプローブを作製し、ハイブリダイゼーションを行ったところ、分化中の細胞が染まり、すでに完成した死細胞については染まっていないことが確認できた。
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Research Products
(2 results)