2008 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価15族元素化合物の動的挙動制御による性質解明
Project/Area Number |
08J04177
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山道 秀映 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超原子価化合物 / 5配位 / アンチモン / 異性化反応 / turnstile rotation機構 |
Research Abstract |
三方両錐構造を有する5配位15族元素化合物は非常に速く異性化することが知られているが,提唱されている異性化機構の一つであるturnstile rotation(TR)はこれまでその存在が疑問視されていた.本研究ではその存在の有無を明らかにするために,競合する反応であるBerry pseudorotation(BPR)を完全に抑制する強固な三座配位子を有するアンチモン化合物の合成およびその異性化反応の研究を行った. 新規に合成した強固な三座配位子および2つの異なるアリール型単座配位子を有する5配位アンチモン化合物は溶液中で二つの立体異性体の間に平衡があることを明らかにした.この化合物は強固な三座配位子のためにBPRを起こさないと考えられることからTR機構の存在が示唆された.NMRを用いた反応速度論測定から実験的に得られた結果および理論計算の結果から,この異性化がTR機構で進行していることを明らかにした.また,TR機構による異性化反応の性質を知るために溶媒効果を調べたところ,配位性溶媒中で反応が加速されることを見いだし,その原因が配位性溶媒がアンチモン原子へと配位することで中間体が安定化されるためであることを明らかにした.これはTR機構の存在およびその性質を明らかにした最初の例である. また,アンチモンの低周期同族元素であるリン,ヒ素化合物に関しても標的化合物の前駆体である,三座配位子を有する5配位化合物のモノハロゲン化体の合成に成功した.現在,異性化機構の解析が可能な化合物への変換について検討している.
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Research Products
(5 results)