2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞における小胞体ストレスおよびストレスシグナルの生理病態的意義の解明
Project/Area Number |
08J04191
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮田 佑吾 Osaka University, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脂肪細胞 / メタボリックシンドローム / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
分泌蛋白質の新生において小胞体(ER)内のシャペロンが必要不可欠であることが知られているものの、生体最大の内分泌臓器、脂肪細胞におけるそれらの遺伝子発現制御はほとんど明らかとされていない。そこで我々は脂肪細胞におけるERシャペロン遺伝子発現の制御およびその意義の解明を目的とし、検討を行った。その結果、3T3-L1脂肪細胞にインスリンを添加することによってERシャペロンの遺伝子発現が上昇すること、またインスリンがCHOPの遺伝子発現を上昇させることを見出した。さらに、3T3-L1脂肪細胞をインスリンで前処理することで、タプシガルギン誘導性のunfolded protein response(UPR)が完全にキャンセルされることを見出した。これらのことから、インスリンがシャペロンやCHOPの遺伝子発現を上昇させ、UPRに対して防御的に働くことが示唆された。以上の成果を、第51回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した。 肥満脂肪組織は小胞体ストレスなど様々なストレスに曝されていることが報告されている。そして、それらのストレスが、アディポサイトカインの産生異常やインスリン抵抗性病態・を惹起することが明らかとなっている。このように、様々なストレスが脂肪細胞の機能異常を引き起こすことが分かっているものの、その詳細な分子機序はいまだ不明である。申請者は、ストレスシグナルの中核を担う転写因子が肥満脂肪組織で高発現していることを見出した。更に、その転写因子は脂肪組織への浸潤細胞に限局して発現していることを見出した。現在までに、肥満脂肪組織への浸潤細胞が脂肪細胞の機能異常を引き起こすことが知られていたものの、詳細な分子メカニズムはあまり解析されていなかった。本研究はこれらの機序の一端を明らかにし、生活習慣病予防および治療薬の開発につながる可能性がある。
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Research Products
(4 results)