2008 Fiscal Year Annual Research Report
血小板における脂質メディエーター輸送体の同定と機能解析
Project/Area Number |
08J04202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久野 悠 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | S1P / MEG-01 / ABC輸送体 / PLSCR / 血小板 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1-リン酸(S1P)は細胞膜の構成成分であるスフィンゴミエリンから合成される脂質メディエーターで血小板に高濃度に蓄積されており、刺激に応答して細胞外へと放出される。S1Pの生合成過程や受容体に結合した後のシグナル伝達についてはよく研究されているが、放出過程についてはほとんど明らかとなっていない。そこで、血小板に発現するS1P分泌輸送体の同定を目指して研究を行った。血小板は、巨核球の細胞質がちぎられて産生されるため核を持っておらず、分子生物学的解析が困難である。そこで、巨核芽球性の培養細胞であるMEG-01細胞を用いて解析を行った。MEG-01細胞はDNA合成阻害剤であるアフィジコリンで処理することにより、Platelet-Like Particle(PLP)という血小板に類似した分子を産生するという報告があったため、PLPからのS1Pの放出を調べたところ、血小板と同様にトロンビン刺激依存的なS1Pの放出が観察された。そこで、PLPを血小板のモデルとし、PLPに発現するS1P輸送体の同定を試みた。まず、血小板での阻害剤を用いた生化学的解析によりABC輸送体とリン脂質スクランブラーゼ(PLSCR)が候補として見出されていたので、MEG-01細胞に発現するABC輸送体とPLSCRをreal time-PCRにより調べた。その結果、13遺伝子の発現が確認されたが、このうち細胞内膜系に発現していると報告のある遺伝子を除いた10遺伝子についてsiRNAを用意し、発現抑制を行った。各候補遺伝子の発現を抑制した後にPLPの産生を誘導し、PLPからのS1P輸送活性を測定した。約30%程度放出を抑制する遺伝子が得られたが、現在再現性の確認を行っている。今回得られた遺伝子が血小板におけるS1P輸送体であることをKOマウスなどを用いて更に解析する予定である。
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Research Products
(3 results)