2008 Fiscal Year Annual Research Report
京都学派周辺の禅哲学とその中での西田哲学の思想的独自性-道元解釈を手引きとして
Project/Area Number |
08J04211
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
杉本 耕一 Kansai University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本哲学史 / 近代日本思想 / 近代仏教思想 / 京都学派 / 西田幾多郎 / 田辺元 / 道元 |
Research Abstract |
平成20年度におこなった研究は、二つの領域に大別される。第一に(1)近代日本における道元解釈の研究、第二に(2)京都学派の宗教哲学と時代との関わりをめぐる研究である。 (1)は、当初の研究計画に忠実に遂行されたものである。その成果の一つは、論文「田辺元の道元解釈について--京都学派の禅哲学の再考に向けて」(『求真』15号、2008年12月、27-42頁)として公刊された。そこでは、自身の西田哲学批判と道元の臨済禅批判とを重ね合わせる田辺元の道元論を分析することによって、一般に「京都学派の禅哲学」(西谷啓治、久松真一、上田閑照ら)として知られている禅哲学とは別の禅哲学の可能性を提示した。また、西田と田辺との禅解釈をめぐる対立を軸として、近代日本における種々の道元解釈(曹洞宗の近代宗学、臨済系の影響の強い立場からの解釈、いわゆる「批判仏教」など)を位置づける見取図を描く展望を立てた。それによって、京都学派の宗教哲学の近代的仏教哲学としての特殊性(積極的に言えば独自性、消極的に言えば偏向)を明らかにするための端緒を開くことができた。 (2)は、研究計画には直接には挙げなかったが、(1)の研究を現代的関心をもっておこなうために避けて通ることのできない問題として取り組んだものである。またこれは、博士論文までの研究成果を、より具体的な問題に展開させたものでもある。論文「「歴史」と「哲学」との狭間での京都学派の歴史哲学」(『日本思想史学』第40号、2008年9月、135-152頁)、提題「宗教思想から倫理学へ」(日本倫理学会第五十九回大会)、口頭発表「哲学・宗教・歴史・時局」(日本思想史学会2008年大会)はその成果である。
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Research Products
(5 results)