2009 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系の超伝導と磁性に関する理論的アプローチ
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08J04258
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 大輔 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子スピン系 / グリーン関数法 / 平均場近似 |
Research Abstract |
幾つかシンプルな場合を除き,一般に相互作用する多体問題の厳密な解を導出することは難しい.そこで系の性質や振る舞いを知るために様々な近似手法が開発,適用されてきた。量子スピン系におけるRPAもそのひとつである.我々の昨年度の研究成果により,先行する多くの研究で用いられてきた従来の方法ではスピンの揺らぎが異方的である系に対して適用するといくつかの不具合が生じることが明らかになった.我々はシンプルな模型に対しては改善の処方箋を提示したが,スピン再配向のような興味深い系の場合どのように対処すれば良いかは自明でない.そこでこの問題の解決を完成することを目的とした. 平均場近似は多体問題を取り扱うための最も簡便な近似手法である.しかしながらこの方法ではスピン間の揺らぎの効果が無視されているため,平均場近似を超えて揺らぎの効果を取り入れることができる手法を開発することは非常に重要である.まず我々は昨年度に開発した新たな近似手法(改良したRPA)を様々な系に適用し,その計算結果を(存在するなら)厳密解や数値解と比較した.多くの場合には非常に精度の良い結果を導くが,最も興味を持っている磁場によって磁化の方向が傾いていく系(例えば横磁場Ising模型)においては我々の方法は直接適用できないことが明らかになった.現在の形式のままでは磁化などの物理量を求めるための条件式が1つ不足しており,この点を解決することは今後の課題である.さらに上記のものとは異なる視点でも揺らぎの効果を取り入れることを試みた.RPAは長波長揺らぎを取り入れる方法であるのに対し,この方法は短波長揺らぎを取り入れることに重点を置いた方法である.このクラスター平均場近似では多体問題を幾つかのスピンから成るクラスターの少数多体問題に近似する.さらにクラスター間相互作用も通常の平均場的な取り扱いを超えて,より相関が取り入れられるように改良した.
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Research Products
(4 results)