2008 Fiscal Year Annual Research Report
強相関電子系の超伝導と磁性に関する理論的アプローチ
Project/Area Number |
08J04258
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 大輔 Waseda University, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 量子スピン系 / グリーン関数法 / XXZモデル |
Research Abstract |
1、研究目的 量子スピン系に対するグリーン関数を用いた解析手法について研究する.Tyablikovらが導入したRPA切断近似の方法は,磁性体の性質を低温から高温までの広い範囲で良く記述することが知られている.しかしながら,横磁場中XXZモデルのように異方軸が2つあるような複雑な系に対しては明らかに不自然な結果(例えばスピンの平均値が最大値Sより長くなる)を導いてしまう.この原因の解明と,手法の改良を目的とする. 2、研究手法 異方軸が2つある系のなかでも,最も簡単なモデルである「面内磁場中の容易面異方性を持つ強磁性体」を取り上げ,RPA切断の方法について詳細に調べた. 3、研究成果 RPA切断近似は磁化軸に垂直な面内方向のスピン揺らぎを方向に寄らず「平等に」.近似するため,スピン空間で異方的な揺らぎを持つ系に対して適用すると非物理的な結果を導いてしまうのみならず,2つの矛盾する方程式が導かれてしまうことが分かった.従来の数々の研究では,この2つの式のどちらか片方のみを用いて計算しており,これらの研究結果の見直しと手法の改良に関して重要な示唆を与えた.スピン演算子にはその長さの総和則以外に,それぞれの(スピン空間での)方向に関する3つの拘束条件がある.異方的な揺らぎを平等に近似するRPA切断の枠組みでは,これら3つの拘束条件のすべてを満たすことが不可能となる.そこで我々は最も重要と思われる「磁化軸方向」の条件を用いて磁化の値を計算し,その結果が数値解と良い一致を見せることを示した.
|
Research Products
(3 results)