2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能遺伝子情報を用いた水田土壌の脱窒菌群の特定と脱窒特性診断技術の基盤構築
Project/Area Number |
08J04259
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 愛美 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脱窒細菌 / 水田土壌 / 土壌DNA / 細菌群集構造 / nirS / nirK / 土壌RNA |
Research Abstract |
水田は脱窒が活発に行われている場所でありながら、実際に脱窒に関わる微生物についてはよく分かっていない。そこで、本研究では水田土壌における脱窒細菌群集構造を明らかにするため、再現可能で脱窒を活性化させる実験系である室内モデル実験系と、現場の水田であるフィールド系を設定し、モデル実験系のインキュベーション前後、フィールドの栽培期間中数回土壌を採取した。採取した土壌から抽出したDNAから、脱窒機能遺伝子nirS,nirKについてクローンライブラリー法によって系統解析を行った。その結果、モデル実験系、フィールド系の脱窒活性が高い時期において既知の微生物のnirとは相同性の低い配列が多く得られたほか、Rhizobiales、Burkholderialesに分類される微生物のnirに相同性が高い配列が多く得られたことから、これらに近縁な細菌群が活発に脱窒を行っている可能性が示唆された。さらに、定量的PCRの結果、フィールド系ではnirS,nirK共に量的な変化はほとんど見られなかったが、モデル系ではインキュベーション後にnirKが大幅に増加した。また、nirKのクローン数は、nirSに比べて常に10倍程度多く現れ、水田土壌中ではnirK保持脱窒菌が重要な役割を持っていることが示唆された。 DNA解析において明らかになった脱窒機能遺伝子を持った微生物が実際に土壌中で活性を示しているとは限らず、RNAに基づく解析は重要である。日本各地の水田土壌からのRNA抽出の検討を行った。その結果、仙台、新潟、山形の水田の土壌からRNAの抽出に成功した。また、逆転写PCRによってcDNAを作成し、16S rRNA及びnirをターゲットとしたPCRを行った結果、増幅が見られ、逆転写前のRNAのPCRでは増幅が見られなかったことから、DNAの夾雑のないRNAが得られたことが示唆された。
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Research Products
(2 results)