2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04276
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
出馬 圭世 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 線条体 / 社会的報酬 / 評判 / fMRI |
Research Abstract |
申請者は平成20年度において、ヒトの利他的行動(寄付)についての意思決定における社会的報酬の処理に関して機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて研究を行ってきた。利他的行動の一つである寄付行動を実際にfMRI内で行なわせ、その際の脳活動を計測し、その際に他者が寄付するかしないかの行動を観察している条件とそのような観察者がいない条件を用意し、他の人から良く思われたいという社会的報酬の獲得動機が実際の行動および脳活動にどのように影響を与えるかを観察した。 まず予備実験においてfMRI本実験で使用する慈善団体78個を選別し、6月頃から本格的にデータを取り始めた。最終的に計26名からfMRIデータを収集した。その後のデータ解析の結果、社会的意思決定時において金銭報酬と社会的報酬という異なる報酬は線条体の同一部位において処理されているということを見出した。これは異なる種類の報酬を同じ軸上で比較し、行動の選択を行なっている、つまり脳内に「共通の通貨(common neural currency)というものが存在するという考えを支持するものである。この研究結果は今までの神経科学の分野では、食物報酬や金銭報酬を使ってしか検討されてこなかった意思決定の神経基盤について、それをヒトの実際の社会的行動に拡張し、あらたな知見を提供しているという点において非常に意義のあるものである。 この研究結果は既に論文にまとめられ現在投稿中である。
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Research Products
(4 results)