2008 Fiscal Year Annual Research Report
J-PARCでの半導体検出器・原子核乾板混合様式を用いたダブルハイパー核の探索
Project/Area Number |
08J04291
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 敦史 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | J-PARC / ダブルハイパー核 / ストレンジネス / ドリフトチェンバー / 原子核乾板 / DSSD / K1.8ビームライン / ハドロンホール |
Research Abstract |
本年度、申請者者は主にJ-PARCハドロンホールのK1.8ビームラインで用いられるドリフトチェンバーの開発に主導的に携わった。このドリフトチェンバーはダブルハイパー核探索実験のみならず、2009年10月に行うK1.8ビームラインの最初のチューニングテストに用いるため極めて重要な検出器である。 ドリフトチェンバーは高電圧(1000V~1400V)をかけたワイヤーを並べて通過する荷電粒子の位置を検出する器具であるが、J-PARCで用いるドリフトチェンバーは大強度ビームを検出するため、ワイヤー間隔を通常より狭い1.5mmに設定している。よって動作のために高電圧を付加した際に放電現象が見られた。申請者は放電現象が外界の環境、特に湿度に大きく依存することを突き止めた。また放電箇所に絶縁材を導入するなどの工夫を行った。 申請者は4月はドリフトチェンバーの基本性能をテストし、5月には東北大学原子核理学研究施設に於いて陽電子ビームを用いてデータ読み出しを含めた総合テストを行った。結果、データ読み出しのバグの洗い出し、ドリフトチェンバーの放電箇所を突き止め、また検出効率も測定した。 一方、ダブルハイパー核探索実験においてはシミュレーションを行い、原子核乾板を載せるエマルションムーバの工作精度、設置位置を決定した。また同実験の主要検出器であるDSSDの動作不良個所の調査を2008年10月に理化学研究所にて行った。これに関しては現在も引き続き調査中である。 また申請者自身の知識、研究技術向上のため、申請研究に支障がきたさない範囲で積極的に他分野の研究に関わった。例として原子炉研究所における中性子干渉縞確認実験において実験の立ち上げからデータ取得まで手伝った。またSPRING8におけるペンタクォーク探索実験に参加し、データ取得をサポートした。
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