2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい負の炎症調節因子ATF3の発現調節機構および作用機構の解明
Project/Area Number |
08J04318
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蜂屋 瑠見 Keio University, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 肥満 / 炎症 / ATF3 |
Research Abstract |
共同研究者の東京医科歯科大学小川佳宏教授らのグループは、activating transcription factor 3(ATF3)が、飽和脂肪酸により誘導される肥満脂肪組織の炎症性変化を負に調節することを報告した(Circ.Res.105:25-32,2009)。本研究はATF3の発現調節機構および作用機構を解明し、ATF3を中心とした新しい創薬ターゲットの同定を目指し、1、ATF3結合分子の同定と解析、2、マクロファージ特異的ATF3欠損マウス(MacATF3-KO)を用いた解析を行った。1では、昨年度同定したATF3結合分子のうち、今年度は、11の分子について、マクロファージ細胞株で過剰発現および欠失させ、既にATF3との結合との結合が報告されているストレス応答性分子ATF4および未知のクロマチンリモデリングに関わる分子などが、炎症シグナル伝達系Toll-like receptor 4(TLR4)/NF-κB経路において重要なはたらきを担つていることを明らかにした。TLR4/NF-κB経路の転写制御の詳細については未解明な点が多いが、これらの分子は、メタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患など慢性炎症性疾患の病態生理に深く関与する可能性が考えられる。2では、昨年度作製したマウスを用いて、今年度は、(1)マクロファージに対するLPS投与実験、(2)高脂肪高ショ糖食負荷実験を行った。(1)では、MacATF3-KOより調整した骨髄マクロファージおよび腹腔内マクロファージにおいてLPS投与による炎症反応の亢進が認められ、ATF3が初代培養マクロファージにおいても炎症性変化を負に調節していることを明らかにした。(2)では、対照とMacATF3-KOとの間で、体重や脂肪組織重量には差がないにも関わらず、糖負荷試験の結果に有意差が認められ、現在そのメカニズムの解明を進めている。
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