2009 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル対称性を持つ相対論的平均場によるハイパー核と高密度天体現象の研究
Project/Area Number |
08J04326
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
椿原 康介 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | カイラル対称性 / 高密度状態方程式 / ハイパー核 |
Research Abstract |
2009年度は強結合近似格子QCD(SCL-LQCD)から解析的に導かれるlog型のカイラルポテンシャルを含むRMF模型によってΛハイパー核の実験データを説明し、更にΣハイペロンのクーロン束縛状態の再現、実験から示唆されるΞのポテンシャルを再現することにより、ハイペロンの現れる高密度天体現象に用いることのできる状態方程式の作成に従事した。 前年度までに抱えていた中性子星の最大質量を過小評価してしまう問題点をSCL-LQCDの高次項から示唆される中間子-フェルミオン間の結合をRMF模型内に取り込むことによって、核子散乱実験結果を再現する中間子交換2体力を用いたDBHFによる核物質での計算結果をよく再現することがわかった。加えて我々のモデルではハイペロンが原子核に束縛された有限系の計算も同じ枠組みの中で定量的に行えるので、ハイペロンの核物質、中性子星物質の中での振る舞いを実験結果に基づいて統一的に理解することが出来る。 実際にΛハイパー核におけるΛの分離エネルギーなどの実験結果を再現するように模型を決定し、それを中性子星物質へと応用した結果を国際会議や日米共催の物理学会で発表し、論文として投稿中である。 その他にもパイ中間子が中性子星物質の中で凝縮した状態として現れうるかといった課題やカイラル対称な多項式で書かれるラグランジアンを用いて、原子核や対称核物質の実験的・経験的性質を説明しうるかといった課題に取り組み、以上を論文としてまとめた。
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Research Products
(5 results)