2008 Fiscal Year Annual Research Report
余剰次元模型におけるフレーバー物理とコライダーの物理
Project/Area Number |
08J04354
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿部 智広 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員-DC1
|
Keywords | 余剰次元 / ヒッグスレス模型 / フレーバー / 電弱対称性の破れ / コライダー |
Research Abstract |
本年度は、電弱対称性の破れを説明するヒッグスレス模型が、電弱精密測定からどのような制限を受けるのかについて研究を行った。特に、その低エネルギー有効理論である、3サイトヒッグスレス模型について量子補正を含めた計算を行い、この模型に含まれるパラメータ、具体的には、模型に含まれるKK粒子の質量およびそれら粒子の標準模型に含まれる粒子との相互作用の強さに対する制限を、S,Tパラメータからつけた。この結果の重要な点け、それまで定性的にしかわからなかった、KKゲージボソンの一つであるW'と標準模型に含まれるフェルミオンとの相互作用の強さに対する制限が、初めて定量的に明らかになったことである。これによって、それまで評価することができなかった、W'のDrell-Yan過程による生成確率およびW'のフェルミオンへの崩壊率を定量的に評価することが可能となった。このことは、昨年から始まったLHC実験での模型の検証にとって重要な結果である。 また、この模型において、Z→bb崩壊過程に対する量子補正も計算した。これをRbの実験値と比較することでこの模型に含まれるKKフェルミオンの質量に対する制限をつけた。この結果は先に述べたS,Tパラメータからの制限と無矛盾であるものの、比較的緩やかな制限しかつかないことことがわかった。
|
Research Products
(3 results)