2008 Fiscal Year Annual Research Report
マボヤ受精におけるアロ認識機構と精子ユビキチン-プロテアソーム系の活性化機構
Project/Area Number |
08J04363
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
赤坂 茉莉 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 受精 / マボヤ / 精子プロテアーゼ / ユビキチン / プロテアソーム / アロ認識 |
Research Abstract |
本研究者の所属する研究室では、受精の詳細な分子機構の解明を目指し、モデル動物として海産無脊椎動物マボヤを用いてこれまでに精子ユビキチン-プロテアソーム系が卵黄膜溶解物質として機能していることや精子プロテアーゼProacrosinとSpermosinが重要な役割を果たしていることを報告してきた。ホヤ類は一般に雌雄同体で精子と卵を同時に放出するが、自家受精は起こらず、他個体の配偶子とのみ受精が成立する。このことから配偶子間には自己と非自己を識別するアロ認識機構が存在すると考えられる。しかし、精子と卵がアロ認識の結果、他個体と判定された場合、どのようにして精子ユビキチン-プロテアソーム系が活性化され、精子の卵黄膜通過が可能になるのかは未だ謎である。本研究者はこの謎を解くため、アロ認識機構と精子ユビキチン-プロテアソーム系をつなぐ懸け橋として機能することが予想される精子プロテアーゼProacrosinとSpermosinに着目して研究を行っている。ProacrosinとSpermosinの受精における役割を詳細に解析する目的で、平成20年度はProacrosinとSpermosinと相互作用する分子の探索を、分子生物学的アプローチと生化学的アプローチで行い、それぞれ興味深い結果を得ることができた。分子生物学的アプローチでは、マボヤの卵巣と精巣のcDNAライブラリーを作製し、酵母ツーハイブリッド法を利用してProacrosin・Spermosinと結合する分子の網羅的解析を行った結果、複数の興味深い分子が単離された。その中にはこれまでに受精への関与が報告されているが詳細な役割は全く明らかになっていない分子も含まれており、今後精子プロテアーゼとの関連性が明らかになれば受精のメカニズム解明に大きく貢献できることが期待される。生化学的アプローチによる相互作用分子探索では、Apolipoprotein Bに相同性を示す分子が単離・同定された。この分子もこれまでに受精への関与が報告されていたが詳細な役割は明らかにされていないので、今後の研究によって重要な知見が新たに得られる可能性が高い。
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Research Products
(2 results)