2008 Fiscal Year Annual Research Report
自律的な動機づけによる適応的な友人関係の形成・維持過程に関する研究
Project/Area Number |
08J04365
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 涼 Nagoya University, 大学院・教育発達科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自律的動機づけ / 友人関係 / 関係形成プロセス / 自律性支援 / 自己決定理理論 |
Research Abstract |
本年度は,主に実験的な手法によって自律的動機づけの先行要因および行動指標との関連を検討した。まず,実験操作による自律的動機づけへの影響過程について検討した。結果として,自律性支援的態度と深く関わる報酬の提示が自律的動機づけを低下させることを明らかにした。研究成果については,日本グループ・ダイナミックス学会第55回大会で発表し,社会心理学領域の研究者から好評を得た。次に,質問紙による自律的動機づけと実際の相互作用場面における行動指標との関連を検討した。その結果,大学生において,自律的動機づけが高いものは,笑顔や相手に対する注視などが多く,積極的に他者と関わろうとすることが示された。研究結果は,日本パーソナリティ心理学会第17回大会で発表し,パーソナリティ領域の研究者から好評を得た。以上の研究は,これまで質問紙による相関研究にとどまっていた自律的動機づけの概念を行動レベルで検討したものであり,自律的動機づけによる友人関係の形成過程をより精緻化,具体化するものである。これらの知見によって,理論的に導出された自律的動機づけ概念が,実際の行動を予測する上でも有用であることが示され,より応用的な研究への可能性が開かれたといえる。さらに,上記の2研究に加え,自律的動機づけに関する概念と知見を整理したレビュー論文,自律的動機づけと友人関係方略との関連を検討した論文,自律的動機づけと感情経験との関連についての発表,動機づけ概念の構造に関する研究発表を行った。これらの研究は,動機づけの側面から関係形成プロセスを捉えるうえで不可欠な側面に言及するものであり,今後の研究遂行に寄与するものである。
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Research Products
(6 results)