2008 Fiscal Year Annual Research Report
LHC加速器におけるATLAS検出器を用いた超対称性粒子の探索
Project/Area Number |
08J04376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大川 英希 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | LHC / ATLAS / カロリメータ / 宇宙線 / シングルビーム / ジェット / 消失横運動量 |
Research Abstract |
超対称性粒子の探索は、標準理論を越える理論として最有力候補であり、その存在の有無を実験的に確認することは、素粒子物理のみならず、暗黒物質の観点から宇宙物理への影響も甚大である。最も軽い超対称性粒子は、極めて弱い相互作用をする粒子であると考えられているので、ATLAS検出器における消失横運動量の性能を実験初期に理解し、又向上させることは必要不可欠である。大きな消失横運動量に付随して、多数のジェットが生成される事象も予想されているため、ジェットの性能の理解も、極めて重要である。今年度は、上述の目的のために、宇宙線データとシングルビームのデータを用いた、ATLASカロリメータのコミッショニングに参加した。液体アルゴンカロリメータ(電磁カロリメータとエンドキャップ部のハドロンカロリメータ)とタイルカロリメータ(バレル部のハドロンカロリメータ)の両グループに参加し、コントロールルームのシフトからコミッショニングデータの解析など幅広く貢献した。消失横運動量やジェットは、カロリメータのホットチャンネルや宇宙線、ビームハローミューオンからも影響を受け得る。これらのバックグラウンドは、新物理現象の探索の妨げとなるため、除去することが必要不可欠である。そのために、電子ノイズ、カロリメータクラスターの性能評価、ジェット、消失横運動量の再構成に至る一連の流れを、コミッショニングデータを用いて研究し、バックグラウンドの除去方法を開発し、多くの研究会議で発表した。これらの成果を、LHC加速器の本格的な運転に先んじて提出することができたことは、今後の物理解析に大きな影響を与える重要な貢献である。
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Research Products
(10 results)