2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 稔 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スパイクタイミング依存シナプス可塑性 / 方向選択性 / 網膜視蓋系 / コンピューターシミュレーション / NMDA受容体 |
Research Abstract |
記憶や脳の発達機構を理解するためには、スパイクタイミング依存シナプス可塑性(STDP)が神経ネットワーク内で果たす役割を解明することが重要である。網膜視蓋系の神経ネットワークにおいて、ある特異的な視覚刺激を網膜に提示すると、視蓋ニューロンがSTDPによって方向選択性を獲得することが報告されている。しかし、そのメカニズムは明らかではない。本研究は、解剖学や電気生理学の知見に基づいた網膜視蓋系神経ネットワークのシミュレーションモデルを作成し、視蓋ニューロンがSTDPによって方向選択性を獲得するメカニズムを解明することを目的としている。本年度は、網膜視蓋系の神経ネットワークモデルを作成し、そのモデルを解析することで、方向選択性獲得のメカニズムを提案した。具体的には、まず、解剖学や電気生理学の知見に基づいたネットワーク構造を持つ網膜視蓋系の神経ネットワークモデルを構築した。次に、視覚刺激に対する網膜神経節細胞の応答を再現する網膜モデルを上述の神経ネットワークモデルに組み込み、さらに、視蓋の中にある視蓋ニューロンや介在ニューロンの電気刺激に対する応答を、ホジキン・ハクスレー方程式を用いて定式化した。続いて、以前に私の研究室で作成したSTDPを再現する、シグナル伝達のシミュレーションモデルをシナプスに組み込んだ。この神経ネットワークモデルに実験と同様の刺激を与えてシミュレーションを行なったところ、視蓋ニューロンは方向選択性を獲得し、その結果は実験と一致した。この神経ネットワークモデルを解析することで、STDPだけでなく、視蓋ニューロン同士の興奮性のシナプス結合が、方向選択性の獲得に重要な役割を果たすことがわかった。また、私の研究室では、数理モデルを用いてNMDA受容体のアロステリック効果を予測している。本年度は、実験系を立ち上げ、このアロステリック効果の検証実験を開始した。
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Research Products
(2 results)