2008 Fiscal Year Annual Research Report
Ti-Ni系形状記憶合金における自己調整機構の結晶学および形態学的解析
Project/Area Number |
08J04413
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西浦 智博 Kyushu University, 総合理工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Ti-Ni系合金 / 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / 自己調整 / 透過電子顕微鏡 / 双晶 / 一面トレース解析 / 界面構造 |
Research Abstract |
本研究課題は、実用形状記憶合金であるTi-Ni系合金の形状記憶特性・超弾性に直接影響するマルテンサイト相の自己調整機構を形態学と結晶学的観点から本質的に解明することを目的とする。本年度は、以下に述べる研究を遂行し成果が得られた。1.光学顕微鏡その場冷却・加熱観察を行い、熱弾性マルテンサイト変態の初期段階、すなわちB19'マルテンサイト晶兄弟晶(晶癖面バリアント)の生成過程を観察した。その結果、2つの晶癖面バリアントがV字状に配列し、自己調整の基本構造がV字状であるという知見が得られた。さらに、母相/マルテンサイト相が共存した透過電顕(TEM)試料を作製し、自己調整構造は第一種双晶を界面とするV字状構造が基本構造と考えられる。偶発的にV字状基本構造同士が衝突することで3つ、4つ、5つおよび6つのバリアントからなる自己調整構造モデルが示唆され、実際にそれぞれのモデルに対応する観察結果が得られた。2.申請者らが確立した試料作製条件によって母相状態の薄膜試料にマルテンサイト相のトレースが残留したTEM試料の解析を行い、母相/マルテンサイト相の格子対応を確認し、本試料によっても自己調整構造の解析が可能であることが判明した。一面解析ではあるが、TEM試料表面に残存する晶癖面バリアントのトレース解析を行い、実験的に晶癖面を求め、マルテンサイト変態の現象論により導かれる晶癖面に近い面が得られた。3.自己調整構造について、双晶からなる晶癖面バリアント同士の界面について電顕観察を試み、双晶分率の大きいマルテンサイト晶(matrix)同士の界面は小傾角粒界、双晶分率の小さいマルテンサイト晶(twin)同士の界面は複合双晶関係になることがわかった。今後は、各種界面構造の高分解能観察および結晶学的解析を進め、可能な晶癖面バリアントの配列、つまり自己調整構造を決定する。
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Research Products
(4 results)