2009 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理格子振動計算による軽元素系水素貯蔵物質の熱力学特性に関する研究
Project/Area Number |
08J04418
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
圓谷 貴夫 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 第一原理計算 / 水素貯蔵物質 |
Research Abstract |
本年度は、遷移金属と水素の相互作用について取り組んだ。古くから遷移金属の水素化による構造相転移や多量の金属原子空孔の生成、水素脆性といった現象について興味がもたれている。その中でも、bcc-Feは水素圧下約3.5GPaでdhcpのFe格子をもつ水素化物FeHに構造相転移することが報告されている。hcp-Feは非磁性であるが、鉄水素化物dhcp-FeHは室温で強磁性状態が安定であることから近年、その物性に興味がもたれている。さらに水素圧を32GPaまで加えると強磁性状態が消失することが実験で示されている。しかし、水素化による構造相転移の機構や電子状態の変化、磁気的性質のメカニズムについては明らかになっていない。最近、FeHの磁性の圧力変化について、メスバウアー分光測定やFeK吸収端X線磁気円二色性(XMCD)実験が行われ、加えた水素圧に対して磁性が敏感に変化することがわかっている。 本研究では、密度汎関数法に基づくFLAPW法(Full potential Linearized Augmented-Plane-Wave)による第一原理計算手法を用いて、dhcp-FeHの磁性および電子状態、XMCDスペクトルについて調べた。またその電子状態とその構造安定性について理解するために、電子状態計算を実行しそれらの結合の違いについて調べた。dhcp-FeHの構造安定性について任意の波数ベクトルに対する振動モードを求め、そのフォノン分散曲線から議論することを目的に、凍結フォノン近似を用いた格子振動計算手法の定式化及びそのコード開発を進め、いくつかのプログラムを作成した。
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Research Products
(3 results)