2008 Fiscal Year Annual Research Report
光格子トラップ中の2準位原子量子ビットを用いた幾何学的量子操作の研究
Project/Area Number |
08J04419
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
今井 弘光 Tokyo University of Science, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子情報 / 幾何学的操作 / 光格子トラップ / ナトリウム原子 / 冷却原子 / ボース・アインシュタイン凝縮(BEC) / 2準位原子 / スピン偏極 |
Research Abstract |
1、全幾何学的位相操作によるユニバーサル単一量子ビット演算(以下、USQO)演算の確立 USQOは、初期状態が基底状態の場合、ブロッホ球上における2-3軸の回転によって成し遂げられる。前年度までに、初期状態が基底準位にある場合の幾何学的操作を用いて、2-3軸の回転を実現したが、信号には、余分な位相や、ノイズがのってしまい、不安定なものとなっていた。そこで、レーザー強度の安定化、acシュタルクシフトの除去を行うことにより、統計誤差1%程度の不確かさで実現をすることができた。これにより冷却2準位原子のUSQOを実現した。 2、NaにおけるBECの作成 光双極子トラップへ移行する際には、原子を超冷却する必要がある。これまで、レーザーと磁場を用いた磁気光学トラップ(MOT)から、光のみによる偏光勾配冷却(PGC)、そして、磁場ポテンシャル中へ閉じ込める磁気トラップ(MT)へ移行し、蒸発冷却を行ってきた。この蒸発冷却過程は、平均エネルギーが高い粒子を取り除き、残った原子で弾性衝突を繰り返し再熱平衡化を起こす。ボーズ粒子の場合、この蒸発冷却を繰り返し行うことによって、極低温、高密度において最低エネルギー状態になるボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)と呼ばれる相転移が起こる。この時の転移温度はおよそ500nKであり、光双極子トラップに移行するため十分な温度まで冷却されていると考えられる。蒸発冷却の最適化を行うことにより、約2×10^6個のBECを実現することができた。また、磁気トラップに移行する前にスピン偏極を行うことにより、磁気トラップへの移行効率も2倍増加することにより、最終的に7.5×10^6個のBECを生成することができた。
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Research Products
(9 results)