2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04420
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山川 博美 University of Miyazaki, 農学工学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自然林再生 / 針葉樹人工林 / 更新予測 / 集水域管理 / 前生樹 / 埋土種子 / 天然力 |
Research Abstract |
本研究は、針葉樹人工林伐採後の森林再生メカニズムを林分レベルとランドスケープレベルの両面から明らかにし、生態学知見に基づいた天然更新による森林再生の可否判断および更新技術の開発を目的としている。本年度は、森林再生に及ぼすシカの影響、および伐採後の更新個体の発生および成長に及ぼす伐採前の個体サイズおよび光環境の影響を明らかにし、既報の成果と併せて、人工林が卓越する森林空間(集水域)での自然林再生の候補地の選定方法について解析を行った。 伐採後の再生植生に及ぼすシカの影響はシカ生息密度と対応しており、高密度で生息する林地では更新個体が少なく、ほとんどが食害を受けていた。また、シカ生息エリアの境界付近での伐採による餌資源の増加は、シカ生息エリアの拡大を引き起こす要因のひとつであると示唆された。 伐採後の更新個体のなかで、埋土種子由来の先駆性木本種は光環境によって発生および成長が規定され、Gap Light Indexが20-40%以下でそれらが抑制されていた。一方、前生樹由来の常緑性木本種の発生および成長に対する光環境の影響はなく、樹種および伐採前の個体サイズによって決まっていた。したがって、前生樹からの更新については、伐採前の林分状態から伐採後の更新個体を比較的確実に予測することが可能と考えられた。 最後に、これまでの研究成果を総合し、集水域内で自然林に戻すべき場所の抽出を行った。評価軸には、生物多様性保全機能の高い場所および木材の生産性が低い場所を用いた。その結果、再生候補地は抽出されたが、集水域内にパッチ状に点在していたため、各パッチ間の距離が近い箇所から結合し、パッチの連続性を確保した。その際に、集水域内の人工林率を計算し、木材生産も考慮した最適な候補地の抽出を行った。この結果は、今後自然環境に配慮した木材生産を実現していく上で重要な基礎データを提示することができた。
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Research Products
(7 results)