2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04432
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
対馬 弘晃 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 津波予測 / 海底水圧計 / GPS |
Research Abstract |
本研究では,ケーブル式海底水圧計のデータを用いた津波予測手法の開発を進めており,前年度までの研究によって,その根幹部分を完成させた.平成21年度は,さらなる精度向上を目指して,これまでに開発した予測手法が抱える2つの課題の解決に取り組んだ.1つめの課題は,沖合の津波観測点が少ない場合に,津波波源と観測点との位置関係に依存して津波予測精度が低下しうることである.将来津波がどこで発生するかは未知であるため,こうした予測精度のばらつきを低減することは津波予測の信頼性を向上させる上で重要である.この精度低下は,空間的に疎な沖合観測網のデータだけからでは,津波エネルギー輻射の非等方性を必ずしも考慮できないために起こる.そこで,こうした津波の指向性を陰的に取り入れることができる断層すべりを波源モデルとした予測手法を開発した.その際,海底圧力データの持つ情報を活用して断層パラメタをより正確に推定できるような設計を行い,予測精度の向上を図った.数値実験の結果,新手法を用いれば,従来の手法では波高予測が困難な位置で発生する津波に対して,高精度の波高予測ができることがわかった.2つめの課題は,地震発生直後の津波予測の精度が低いことである.従来の手法は沖合津波データのみ予測に用いるため,水圧計で十分な津波データが得られるまでは予測精度は高くない.陸に極めて近い位置で津波が発生した場合,沖合で十分な津波データが得られるより先に津波が沿岸に到来する可能性がある.そこで,地震発生直後の津波予測の精度向上をねらって,より早期に取得可能な陸上GPSデータを津波予測で利用できるように,海底圧力・陸上GPSデータの統合解析に基づく予測手法を開発した.マグニチュード8.3の2003年十勝沖地震の実測データに適用したところ,海底圧力データのみを用いた場合よりも早い段階で高精度の津波予測値が得られるようになることがわかった.
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Research Products
(2 results)