2010 Fiscal Year Annual Research Report
回転選択性を利用した新規立体選択的電子環状反応の開発と生体機能分子の合成
Project/Area Number |
08J04451
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八道 健太郎 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Xanthocidin / ナザロフ環化反応 / 回転選択的オレフィン化反応 / シクロペンテノイド型抗生物質 |
Research Abstract |
独自に開発した新規ナザロフ反応の発展研究として、昨年度に引き続き本反応を利用した生理活性天然物の合成研究を行った。昨年度より行っているstemonamideの合成研究に加えて、抗生物質であるxanthocidinの全合成を行い、達成した。 放線菌の一種(Streptomyces xanthocidicus)より単離・構造決定されたxanthocidinは、3つの連続する不斉中心を含む、高度に酸化されたシクロペンテノン骨格を有する抗生物質であり、またイネ白葉枯病の原因菌でもあるXanthomonas oryzaeに対する抗菌活性も併せ持つ、創薬化学的に魅力的な化合物である。本研究では、所属研究室にて既に報告された回転選択的オレフィン化反応および独自に開発した高速ナザロフ反応を用いてxanthocidinの全合成研究を行った。 容易に入手可能なエステルを出発原料として回転選択的オレフィン化反応を行い、得られる4置換オレフィンを足掛かりに合成を開始した。すなわち、2工程をかけてナザロフ反応の基質となるβ-アルコキシジビニルケトンへと誘導し、昨年度に確立した改良型高速ナザロフ反応に付すことによりxanthocidinの主要骨格であるシクロペンタジエノンを効率的に得ることに成功した。さらに8工程をかけてジオール部位、カルボン酸部位を導入し、xanthocidinの全合成を総収率5.8%にて達成した。 さらに合成したxanthocidin及びその合成中間体を用いてHeLa細胞に対する抗腫瘍活性試験を行い、有意な細胞毒性を有する合成中間体をいくつか見出すと共に、xanthocidinをはじめとするシクロペンテノイド型抗生物質の抗腫瘍活性という、創薬シーズとしての新たな可能性を見出すことができた。
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Research Products
(7 results)