2008 Fiscal Year Annual Research Report
回転選択性を利用した新規立体選択的電子環状反応の開発と生体機能分子の合成
Project/Area Number |
08J04451
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八道 健太郎 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナザロフ環化反応 / 触媒的不斉反応 / 回転選択性 / 電子環状反応 / 不斉触媒 / 不斉配位子 |
Research Abstract |
独自に開発した新規ナザロフ反応の発展研究として、本反応の特徴でもあるアルコキシル基の1,3-分子間転位によるケトンα位に生ずる四級不斉炭素の立体制御を試みた。 1.触媒的不斉ナザロフ環化反応:金属触媒、不斉配位子、溶媒等に関して種々検討を行った結果、10mol%のSc(OTf)_3-pybox/Ph錯体を触媒として、i-PrOH中室温にて最高91%eeの選択性でケトンα位に生ずる四級不斉炭素の立体を制御した。本不斉反応は単座配位型の基質を用いた不斉ナザロフ反応としてはこれまでで最も高い選択性である。 2.回転選択的ナザロフ環化反応への展開:回転選択性は置換シクロブテンの開環反応に関してHoukらが示した概念であるが、ナザロフ反応においてもその立体発現に深く関与する因子の一つである。本反応においても回転選択性の制御により連続する不斉中心を一気に構築することが可能となる。そこで種々のキラル酸触媒を用いて不斉反応を行った結果、Triisopropylbenzeneを遮蔽基として有するN-triflyl phosphoramideが35%eeの選択性で対応するシクロペンテノンのもつ連続不斉中心の立体を制御した。現在、キラル触媒の設計を含めた更なる検討を行っている。 以上、本年度は以前独自に開発した新規ナザロフ反応の発展研究として、本反応を二種類の不斉反応へと展開し、ケトンα位に構築されるカチオンの面制御を伴う不斉反応では最高91%eeという選択性を達成した。また、同旋的環化反応におけるtorquoselectivityの制御も検討し、本選択性を利用した電子環状反応の合成化学的有用性を明示し、新規立体制御法としての可能性を拓いた。
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Research Products
(4 results)