2008 Fiscal Year Annual Research Report
高融点金属のナノ構造制御による高エネルギー粒子照射特性の改善に関する研究
Project/Area Number |
08J04459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 琢之 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 核融合炉材料 / 表面損傷 / タングステン合金 / ブリスタリング / 微細組織制御 |
Research Abstract |
これまでの研究で従来のW合金ではHeイオン照射により材料内部のHeが高密度に蓄積してしまい、レンズ型バブルを形成して表面剥離が発生してしまった。それに対して、我々のこれまでの実験によりメカニカルアロイング法で作製W-TiC分散型合金では、注入したHeを飛程領域外に分散させることにより飛程領域のHe濃度を低下させ、レンズ型バブルの形成を防ぎ、表面剥離を抑制する可能性が考えられていた。このようなW-TiC分散型合金の注入Heを分散する性質は、材料中の微細な結晶構造、特に高密度に存在する粒界により発現していると考えられた。そこで、W-TiC分散型合金に対して熱処理などで結晶粒径の調整を行い、Heイオン照射試験およびTDS試験を用いて、W-TiC分散型合金のHeイオン照射による表面剥離抑制効果について結晶粒径と微細組織の観点から検討を行った。作製した各試料に対して、Heイオン照射を室温にて5×10^<21>He/m^2行い、1500℃までのTDS(昇温脱離)試験を行い、Heの表面への蓄積挙動を検討した。結晶粒径が小さくなるほど、Heの放出開始温度は低いこと、結晶粒径が飛程より小さい領域と大きい領域では放出量が異なることが分かった。これは、結晶粒径が飛程よりも小さい領域ではHeが粒界拡散により放出に至るのに対して、結晶粒径が飛程よりも大きい領域ではHeが粒内拡散により放出するからだと考えた。これより、注入Heの飛程領域から表面までの拡散および放出のプロセスでは、結晶粒径が大きく影響をしていると考えられた。粒界から表面までの拡散のプロセスよりもHeイオン照射時の飛程領域におけるバブル成長挙動のほうが、表面剥離発生の可否に大きく影響している可能性示唆された。結晶粒径が少なくとも0.5μmよりも小さくなければ、Heイオン照射による表面剥離の抑制効果は現れない可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)