2008 Fiscal Year Annual Research Report
HREELSとSTMによる金属ナノクラスターの制御と電子励起状態の研究
Project/Area Number |
08J04492
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 大樹 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クラスター / 走査トンネル顕微鏡 / 高分解能電子エネルギー損失分光法 |
Research Abstract |
これまで、申請者は金属ナノクラスターを成長させる基板に用いるため、化学処理により作製した水素終端シリコン表面の高品位化に取り組んできた。本年度では、水素終端法の完成を目標として研究に取り組んだ。これは水素終端基板にスパッターの効果を与えることで、Agがそのクラスター形状に変化を及ぼすことを予備実験において見出したことによる。この結果は、基板である水素終端面の清浄度と欠陥の無いことが、結晶成長を制御する上で重要であることを意味する。これまでの試料作製法に関する幾つかの条件を抜き出して、無汚染かつ直線状に単原子ステップの揃った表面の作製法を確立したので、その内容を国際学会にて発表した(学会発表1)。この内容については、来年度中に雑誌論文にて出版される予定である。このようにして得られた表面は半導体表面の構造として最もモデルとして取り扱われるため、基板利用に加え、基礎科学においても重要性を持つ。そこで、この表面を用いた表面振動状態の測定を行い、重水素終端面との比較から、水素終端面の本来の振動状態を初めて明らかにした(学会発表2及び4)。重水素終端面は申請者らが初めて清浄に作製に成功しており、同位体間の比較から振動状態を明らかにした例はこれまでにない。また、産業上重要であるシリコンの酸化反応について、完全に酸素汚染の無い水素終端表面を用いることで、初めて精度の高い知見を得た。酸素は選択的なサイトから酸化される。これら、振動状態と酸化に関する新たな知見を現在論文雑誌に報告するため現在準備を行っている。
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