2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子核における新たな存在様式:α凝縮とダイニュートロン凝縮の探索
Project/Area Number |
08J04495
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 右馬 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 不安定核 / αクラスター構造 / クーロン分解反応 / α凝縮 / ダイニュートロン / 散乱状態 |
Research Abstract |
今年度はダイニュートロン相関に関連して、A=6系の分解反応に関して計算を進めた。クーロン分解の解析から、^6Heの基底状態におけるダイニュートロン相関の観測が実験的に難しいことが判明したため、間接的な観測方法として、^6Heのアイソバリックアナログ状態をもつ^6Li、^6Beの光励起や分解反応を通して、二核子相関の観測の可能性を検索した。 ^6LiはT=1の励起状態に^6Heと同様の構造を持つことが知られているため、^6Liの光励起とその断面緒からダイニュートロンと同等の二核子相関が観測できるかを調べることが可能である。そのような観点から今年度は^6Liの励起状態をα+p+nの3体模型を用いて計算し、CSLSを用いることで光分解反応を計算した。計算結果からは、励起エネルギーが高い領域では^6LiのT=1への分解の寄与が観測でき、それらから核子相関を議論できる可能性があることが分かった。ただし、現状では励起として電気的遷移しか考えていないので、更なる理解のためには磁気的遷移についても調べ、ダイニュートロン相関の実験的観測が可能であるかを具体的に検証していく必要がある。 ^6Beは基底状態が^6Heのアナログ状態であり、また基底状態が共鳴状態であるために、^6Heより直接的にダイニュートロンと同等の二核子相関の奇与を理解できる可能性がある。今年度は共同研究として^6Beの基底状態の構造とその崩壊形式についても議論した。計算結果から^6Beの基底状態は^6Heと非常に近い構造をしていることが分かり、またその崩壊過程において、二核子相関が観測できる可能性があることが見いだされた。これに関してはより詳細な分析を進め、二核子相関が実験の観測量にどのような影響を与えるかを調べる必要がある。
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Research Products
(7 results)