2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンド電極のバイオプロセスにおけるin situ計測への応用
Project/Area Number |
08J04521
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 剛志 Keio University, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | グルコースセンサー / 電気化学センサー / ダイヤモンド電極 / 選択性 / バイオプロセス / 拡散 |
Research Abstract |
バイオプロセスの効率化には、バイオリアクター中の原料物、生成物、副生成物など様々な物質の濃度のモニターと制御のオートメーション化が必要とされる。そのためには、プロセス中in situで濃度を正確に測定できるシステムの構築が必要となる。グルコースや乳酸の電極反応には金属表面などの触媒を必要とし、計測は困難である。バイオセンサーを利用しても、酵素がオートクレーブ処理に耐えられないために、その使用には制約が生じてしまう。その点で、機械的にも化学的にも安定なダイヤモンド電極の使用は、過酷な条件においても長期的に安定な運用が期待できる。 本研究では、ダイヤモンド電極に高電位を印加した時に生成されるOHラジカルを利用したグルコースと乳酸の濃度計測法についての検討を行った。ダイヤモンド電極は表面が不活性なため、触媒性に乏しくグルコースと乳酸ともに電位窓内では直接的な電極反応は生じない。一方で、電位窓が広いために、高電位においてOHラジカルなどの様々な活性種が生成する。これらは、有機物を酸化分解するためダイヤモンド電極は水処理にも利用されている。実際に、フローインジェクション分析法により、リン酸緩衝溶液をキャリヤとして、グルコースと乳酸それぞれについて測定を行ったところ、共に2.1Vvs.Ag/AgClにおいて酸化シグナル最大となり、濃度に応じた酸化電流シグナルの増加が確認された。これは電極表面では、OHラジカルの生成→電極表面に吸着したOHラジカルと有機物の反応→OHラジカル生成のサイクルが繰り返され、有機物の電極表面への物質輸送が律速過程であることを示唆している。そのため間接的な酸化ではあるが、有機物の濃度に比例した酸化電流が得られたと考えられる。この手法は、カラムなどの分離機構を組み合わせることで、バイオプロセス中の様々な物質のin situの濃度計測に有用であると考えられる。
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Research Products
(4 results)