2008 Fiscal Year Annual Research Report
琉球列島・洞窟産哺乳類化石におけるコラーゲン保存状態モデルの構築
Project/Area Number |
08J04527
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沼波 信 Kyoto University, 総合博物館, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 琉球列島 / 哺乳類化石 / 洞窟 / コラーゲン / タフォノミー |
Research Abstract |
沖縄島・宮古島・伊良部島・石垣島・与那国島において、哺乳類化石の産出が確認されている8箇所の洞窟・裂罅の踏査を行い、哺乳類化石標本の収集を行った。得られた標本については、系統・分類学的研究を行い、属種を同定した。タフォノミーの観点からは破片化の状況(磨耗度含む)・サイズ・着色状態・表面の変成状態などのデータを観察・測定し、評価を進めている。この8産地においては、化石調査と並行して洞窟堆積物のサンプリングを行い、堆積場の温湿度・水利条件等を測定して記録した。採集してきた堆積物については、実験室内でpH・透水性・粒度分布を測定し、評価を進めている。化石の化学分析については、総合地球環境学研究所にて実験を開始し、コラーゲンの抽出作業及び炭素/窒素比・同位体等の測定を進めている最中である。哺乳類の遺骸を堆積物に埋没させるコラーゲンの減少実験は、包含堆積物及び乾燥状態の違う6種類の条件を設定し、2008年9月までに1年分のサンプルを得ることができた。このサンプルも同様に作業・測定を進めている。 沖縄島フナクブ第2洞での研究成果の一部については、すでにBAR International Seriesに投稿中である。また、宮古島仲原洞での調査で採集した化石標本を元に、共同研究者たちとともに洞窟学雑誌に論文を作成・投稿し掲載された。学会発表については、第四紀学会2008年大会では、洞窟外における哺乳類遺骸の変成過程を追った研究を発表した。これは、洞窟内外で起こる遺骸の変成を区別し、タフォノミーからの化石の評価やコラーゲン減少実験における条件の検討に用いるために行った研究である。また、日本洞窟学会第34回大会では、これまでの研究手法・成果について、専門研究者以外にもわかりやすい形で紹介したポスター発表を行った。このポスターについて、日本洞窟学会から優秀ポスター賞を受賞した。
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