2008 Fiscal Year Annual Research Report
高誘電率ゲート絶縁膜の放射光界面電子状態解析およびそれに基づいた構造設計
Project/Area Number |
08J04551
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安原 隆太郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化物エレクトロニクス / 抵抗スイッチング / 光電子分光 / 放射光 |
Research Abstract |
本研究では、所属研究室で建設・改良を行っているレーザー分子線エピタキシー(MBE)装置+in situ光電子分光複合装置と放射光を用いて酸化膜界面における電子状態解析を行うこと、および界面構造生成のメカニズム解明及びそれに基づいた積層構造の設計を目的としている。 本年度においては、金属/Pr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)多層薄膜構造における上部電極/酸化物薄膜の界面電子状態を調べることを目的とした。 そのため、はじめに電極堆積用スパッタリングチェンバーを設計・作製した。これを用いることにより、酸化膜の作製・金属の堆積から電子状態解析までを真空一貫プロセスで行うことに成功した。これにより金属表面の酸化や汚染の影響の無い、真の界面構造を調べることが可能となった。 次に、この装置を用いてAl/PCMO構造を作製した。Al/PCMO界面は、スパッタリング法によりAl薄膜をレーザーMBE法により作製したPCMO薄膜上に堆積することにより作製し、in situ放射光光電子分光およびX線吸収分光測定により電極/酸化物界面の電子状態を調べた。その結果、Al/PCMO界面においてはAlの酸化およびとPCMOのMnイオンの還元といった酸化還元反応が起こっていることを明らかにした。この酸化還元反応によって形成された界面層が抵抗変化現象に重要な役割を果たしていると考えられる。 これらの結果は電極/酸化物界面構造を明らかにしており、未だメカニズムが十分に理解されておらず実用化への目処が立っていない抵抗変化型ランダムアクセスメモリの動作機構解明に向けて極めて重要な成果である。このことは、本研究の成果が2009年3月に開催された応用物理学会のシンポジウムで取り上げられたことからも明らかである。
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Research Products
(2 results)