2009 Fiscal Year Annual Research Report
高誘電率ゲート絶縁膜の放射光界面電子状態解析およびそれに基づいた構造設計
Project/Area Number |
08J04551
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安原 隆太郎 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化物エレクトロニクス / 抵抗スイッチング / 光電子分光法 / 放射光 |
Research Abstract |
本研究では、所属研究室で建設・改良を行っているレーザー分子線エピタキシー(MBE)装置+in situ光電子分光複合装置と放射光を用いて酸化膜界面における電子状態解析を行うこと、および界面構造生成のメカニズム解明及びそれに基づいた積層構造の設計を目的としている。 本年度においては、金属/Pr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)多層薄膜構造における上部電極/酸化物薄膜の界面電子状態の電極依存性を調べることを目的とした。 そのため、レーザーMBE-スパッタリング-光電子分光複合装置を改良した。この装置を用いることにより、レーザーMBEを用いた酸化膜の作製・スパッタリング装置を用いた金属の堆積から光電子分光を用いた表面および界面の電子状態解析までが真空一貫プロセスで可能となり、金属表面の酸化や汚染の影響の無い、真の界面構造を調べることが出来るようになった。 この装置を用いてPCMO/LaAlO3上にAl,Pt電極を堆積した。電極/PCMO界面は、スパッタリング法により作製した。Al/PCMOでは抵抗変化が見られる一方、Pt/PCMOではオーミック特性が見られ、抵抗変化は示さなかった。 そこで、抵抗特性の有無と電極/酸化物界面構造の相関をを示すために、2種の界面の界面電子状態を調べた。その結果、Al堆積によってMnイオンは還元されている一方、抵抗変化を示さないPt/PCMO界面においては、界面酸化還元反応は起こっていないことが分かる。このことから、酸化還元反応によって形成された界面反応層が、金属/PCMO/金属構造の抵抗変化現象において重要な役割を果たしていると考えられる。 本研究の結果は2010年3月に開催された応用物理学会で発表した。
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Research Products
(8 results)