2010 Fiscal Year Annual Research Report
高誘電率ゲート絶縁膜の放射光界面電子状態解析およびそれに基づいた構造設計
Project/Area Number |
08J04551
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安原 隆太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化物エレクトロニクス / 抵抗スイッチング / 光電子分光法 / 放射光 |
Research Abstract |
本研究では、所属研究室で建設・改良を行っているレーザー分子線エピタキシー(MBE)装置+in situ光電子分光複合装置と放射光を用いて酸化膜界面における電子状態解析を行うこと、および界面構造生成のメカニズム解明及びそれに基づいた積層構造の設計を目的としている。 本年度においては、光電子分光を用いて、Al/Pr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)多層薄膜構造における詳細な界面構造の決定を目的とした。 そこで、PCMO/LaAlO3上にAl電極を堆積した。Al/PCMO界面は、スパッタリング法により作製した。光電子分光の検出角度依存性の結果から、Al/Al酸化物1PCMO構造になっていることが改めて確認された。さらに、Mn 2p内殻準位光電子スペクトルの検出角度依存性を構造シミュレーションと組み合わせた結果、微量のMn金属がAl酸化物あるいはAl金属中に拡散していることが明らかになった。 これまでの報告において、Al酸化物中のMnイオン不純物がトラップ順位を形成することが明らかになっており、今回観測された結果と合わせて、PCMO上にAl電極を堆積する際にAl酸化物中に拡散したMnイオンがトラップ順位を形成することによりトラップ制御空間電化制限電流が抵抗変化の起源になっていると考えられる。さらに、このような抵抗変化現象はPCMOのみならず、その他のマンガン酸化物や鉄酸化物でも観測されることが明らかになった。このことから、適切な酸化物と電極を選択することにより、今後の素子設計が可能になると考えられる。 本研究の結果は2010年9月に米国応用物理学会誌Apphed Physics Lettersから出版された。
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Research Products
(4 results)