2008 Fiscal Year Annual Research Report
生物脱リンプロセスの最適化に向けたポリリン酸蓄積菌の生理学的解析
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08J04566
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
本村 圭 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリリン酸 / ポリアミン / リン酸代謝 |
Research Abstract |
これまでの研究結果から、ポリリン酸蓄積菌におけるポリアミンの役割を明確にする為、ポリアミンによるポリリン酸蓄積能亢進の詳細な分子機構およびその普遍性を確認する必要があった。まず、ポリリン酸分解酵素(PPX)とポリリン酸合成酵素(PPK)の逆反応に対するポリアミンの作用をin vitroで速度論的に解析した。その結果、ポリアミンが基質であるポリリン酸に結合している反応阻害様式であった。実際にゲル濾過クロマトグラフィーによる結合試験を行った結果、非常に強い力でポリアミンとポリリン酸が結合していることが確認できた。次に、ポリリン酸高蓄積化に対するポリアミン作用の普遍性を確認する為、正常なポリアミン代謝系遺伝子群を持つポリリン酸蓄積変異株を数株作製し、細胞内ポリアミン量を解析した。その結果、ポリリン酸蓄積株には共通してポリアミンの高蓄積が起こっており、ポリアミンがポリリン酸の高蓄積に不可欠であることが示唆された。 並行して、ポリアミンとの結合による影響も含めたポリリン酸蓄積時の生理的変化を解析した。大腸菌のポリリン酸蓄積変異株と非蓄積株の遺伝子発現量をDNAマイクロアレイで比較解析した結果、ポリリン酸蓄積株は好気培養しているにもかかわらず嫌気代謝系遺伝子、特に硝酸呼吸系遺伝子群の発現が顕著に上昇していた。実際にポリリン酸蓄積株の硝酸呼吸活性を測定したところ、野生株を嫌気培養した際と同程度の活性を示した。また、その要因としてリン酸代謝能の変化が強く関与していることがわかった。ポリリン酸蓄積菌が持つ特殊な代謝経路に関与している可能性が高いと考え、その関連性を調べている。
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Research Products
(3 results)