2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04591
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
錦織 雅樹 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物科学研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | プラス鎖RNAウイルス / RNA複製複合体 / 複製タンパク質 / 宿主因子 / キャッピング / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
トマトモザイクウイルス(ToMV)の複製には、ウイルスのコードする複製タンパク質に加え、宿主の膜貫通タンパク質TOM1、および低分子量GTP結合タンパク質のARL8が必要である。これまでの研究から、複製タンパク質、TOM1、ARL8はいずれとも相互作用すること、三者を共発現させた出芽酵母の膜画分にRNA 5'キャッピング活性が検出されることを明らかにした。ToMV RNA複製における宿主因子の機能を理解するため、複製タンパク質の性状および5'キャッピング関連活性について出芽酵母を用いてより詳細に解析した。その結果、複製タンパク質を過剰発現する酵母、もしくは複製タンパク質とTOM1を共発現する酵母において、SDS等の変性剤に耐性ながら、DTT等の還元剤に感受性の複製タンパク質高分子量複合体(多量体)が形成されることを発見した。複製タンパク質によるRNA5'キャッピング反応においては、GMP化された複製タンパク質が形成されるが、酵母膜画分の複製タンパク質のうち、還元剤感受性複合体に含まれる複製タンパク質がGMP化された。そのGMP化はTOM1、ARL8の共発現により促進された。還元剤感受性複合体が分子間ジスルフィド結合により形成された可能性を調べるため、130K複製タンパク質のシステイン残基をセリン残基に置換した変異ウイルスを作製した。植物細胞抽出液を用いた試験管内翻訳・複製系による解析から、3か所のシステイン残基が複製タンパク質の還元剤感受性複合体形成能、GMP化能、およびRNA合成能のいずれにも必須であることが分かった。以上の結果より、宿主因子TOM1、ARL8は、ToMV複製タンパク質の分子間ジスルフィド結合の形成を促進し、複合体中の複製タンパク質の5'キャッピング活性を活性化することが示唆された。
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Research Products
(4 results)