2011 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量Gタンパク質活性の生体内可視化による上皮細胞のgeometry制御の解析
Project/Area Number |
08J04592
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 玲奈 (伊藤 玲奈) 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / FRET / ショウジョウバエ / イメージング |
Research Abstract |
ことで、器官や組織を形作る際のRhoファミリーの時空間情報を解析することを目指す。 昨年度、個体レベルでのシグナルの検出が可能な発生時期・発生過程を選別し、興味深いRhoファミリーGタンパク質活性化の時空間的な変化を見出した。この活性変化について、特にRac1に注目して、ショウジョウバエの胚発生の背部閉鎖(Dorsal Closure:以下、DCと略す)過程の研究を進めた。DCでは、腹部および側面の表皮細胞が背側に侵攻し、背側中央の羊奨膜細胞が覆い尽くされ、アポトーシスによる羊奨膜細胞の細胞死が観察される。これまで、Rac1の恒常的活性化型変異体や優勢劣性変異体を用いた研究報告から、表皮および羊奨膜細胞におけるRac1活性の必要性が示唆されてきた。しかしながら、活性化モニター分子(Raichu-Rac1)を用いた解析の結果、特徴的なRac1活性のパターンがあることに気が付いた。羊奨膜細胞の部位特異的な細胞でのみ、Rac1活性が非常に高いことが示された。そしてRac1優勢劣性変異体を、羊奨膜細胞の特異的な部位の細胞に発現させると、羊奨膜細胞と表皮細胞間の細胞接着を保つことができず、正常なDCが起きないことが分かった。以上の実験結果から、Rac1は羊奨膜細胞と表皮細胞間の細胞間接着に働きかけ、正常なDCの進行に重要な役割を果たすと考えられた。また、表皮細胞は羊奨膜細胞と比較して、全ての細胞で高いRac1活性が観察された。以上の結果から、異なる細胞間でもRac1活性のレベルを変動させることで、細胞種ごとにRac1活性を使い分けている可能性を示唆している。
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