2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04595
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥村 恭幸 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電弱対称性の破れ / トップクォーク / LHC実験 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究では重心系14兆電子ボルトでの陽子・陽子衝突実験であるLHC-ATLAS実験のデータを用いて、トップクォークを伴うヒグス粒子の生成過程を探索する。 トップクォーク対生成信号を特徴とする本解析において、トップクォークの同定能力の評価は必要不可欠である。本年度の研究は、平成22年度までに収集可能なデータを鑑み、(1.積分ルミノシティー100/pb、2.衝突エネルギー7兆電子ボルト衝突)実験初期のデータを用いてトップクォーク対生成の断面積を評価することを最優先課題と定め、シミュレーションデータを用いたデータ解析準備を進めた。この研究により、LHC-ATLAS検出器のトップクォーク検出能力、およびLHC加速器のトップクォーク生成能力が正確に明らかとなる。特に本研究ではふたつのトップクォークが共にミュー粒子に崩壊するチャンネルを用いてその測定を行い、崩壊終状態のミュー粒子を用いてのトップクォークの同定能力を正確に評価する。トップクォークに由来する二本の高運動量ミュー粒子の検出によって信号を同定し生成数を評価する本測定では、ミュー粒子の検出効率の理解が必用不可欠である。信号事象と同じく、高運動量のミュー粒子を含み、且つ大きい生成断面積を持つZボソン物理過程中のミュー粒子を用いて検出効率を測定する手法を考案。モンテカルロシミュレーションデータを用いた計算機上の擬実験により、100/pbのデータ中で60,000のサンプルトラックが検出効率評価のために収集可能であることを示し、実験初期のデータを用いて、トップクォーク事象に対するミュー粒子検出効率を誤差1%程度で測定可能であることを確認した。これらの研究を、欧州合同原子核研究所に赴き、現地の研究者と議論しながら進めている。
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