2009 Fiscal Year Annual Research Report
14-3-3タンパク質の機能解明を目的としたケミカルバイオロジー
Project/Area Number |
08J04616
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 雄介 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フシコクシン / コチレニン / 14-3-3タンパク / ケミカルバイオロジー / 抗がん剤 |
Research Abstract |
今年度は本研究の目的の1つである、14-3-3タンパク質とリン酸化タンパク質の会合を阻害するフシコクシン誘導体の創出に取り組んだ。まず初めに、リン酸化タンパク質のリン酸基結合部位に着目し、ドッキングシミュレーションソフトを用いて評価を行いながら分子設計をした。続いて、設計した分子を実際に合成し、これを指差熱滴定カロリメトリーにより熱力学的な評価を行った。この結果、合成したフシコクシン誘導体は14-3-3タンパク質に対して9.4μMの結合定数を有することが明らかとなり、少なくとも14-3-3タンパク質に結合する能力が天然フシコクシンよりも7倍近く向上した。現在、実際にリン酸化タンパク質と競合するのかを調べており、この確認が取れれば、さらにX線結晶構造解析を行いその構造基盤を明らかにする予定である。 また、14-3-3/リン酸化タンパク質/フシコクシン誘導体の三者会合体において特に重要な働きをすると考えられるフシコクシン3位の新たな変換方法を見出した。これにより、天然フシコクシンとは異なる配列選択性の三者会合体を形成出来る誘導体の創出が行える可能性が開けた。また、フシコクシンアグリコン誘導体の9位に糖鎖に変わる置換基を導入する反応も開発した。この反応を用いて、蛍光基の導入など今後ケミカルバイオロジー的なアプローチを行うためのツール化に向けた足がかりを作ることも可能となった。今後はこれらを実際に合成し評価を行う予定である。 以上のように、今年度は、リバースケモジェネティクスへの応用を見据えて、確実に研究を進めることが出来た。
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Research Products
(3 results)