2010 Fiscal Year Annual Research Report
14-3-3タンパク質の機能解明を目的としたケミカルバイオロジー
Project/Area Number |
08J04616
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 雄介 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フシコクシン / コチレニン / 14-3-3タンパク質 / 抗がん剤 / タンパク質間相互作用 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
本年度は、これまでに得られたフシコクシンの構造変換法を応用し、14-3-3/リン酸化タンパク質/フシコクシン誘導体の三者会合体形成に焦点を当て研究を進めた。 まず,ドッキングシミュレーションにより、14-3-3とC末端で結合するmode 3、モチーフと選択的に三者会合体を形成する分子を設計し,これを合成した。この分子の三者会合体X線結晶構造をC.Ottmann博士(Max Planck Society, Chemical Genomics Centre)との共同研究によって明らかにし、ここからmode 3選択性を有することが示唆された。これを用いて抗がん活性を測定したところ、弱いながらもコチレニン様の活性を有することが確認され、ここから少なくともコチレニンの抗がん活性の一端にmode 3様式で14-3-3に結合するリン酸化タンパク質が関与する可能性が示唆された。 また、フシコクシンアグリコン9位ヒドロキシ基に糖鎖の代替となることを期待して2-アミノエチル基を導入した化合物を合成した。この誘導体のヒト肺がん細胞A549に対する増殖阻害活性を調べたところ、配糖体の4から5倍程度活性が向上していることが分かった。蛍光プローブ化を検討するため、この分子のアミノ基に環境応答性蛍光官能基ニトロベンゾフラザン(NBD)を導入してA549に対する増殖阻害活性を測定したところ、活性は低下したものの配糖体と同程度の活性は残ることが分かった。これを細胞に投与し共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察を行った結果、蛍光が小胞体(ER)に局在化することが確認され、ここから何かしらの標的がERに存在する可能性が示唆された。 以上のように、合理的な設計によってフシコクシンの構造を変換することで、天然物にはない選択性や機能を与えることが出来ることを示した。
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Research Products
(4 results)