2009 Fiscal Year Annual Research Report
異物排出トランスポーター発現制御ネットワーク解析ならびにその生理機能解明
Project/Area Number |
08J04644
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二階堂 英司 Osaka University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サルモネラ / 異物排出トランスポーター / インドール / 胆汁酸 / RamA |
Research Abstract |
異物排出トランスポーターは多くの細菌に存在する薬剤耐性因子である。食中毒原因菌であるサルモネラには少なくとも9つの異物排出トランスポーターが存在する。AcrABはサルモネラにおいて最も強力に機能する異物排出トランスポーターである。前年度までに,サルモネラAcrABがインドールや胆汁酸といったシグナルによってRamAを介して誘導されていることを明らかにした。また,インドールはRamRを介してRamAを誘導してAcrABを誘導するのに対し,胆汁酸はRamAを活性化してAcrABを誘導することを明らかにした。そこで本年度は,これらシグナルによるAcrAB誘導機構の詳細について検討した。 RamRはramAの上流に結合してRamAの発現を抑制するリプレッサーであることを明らかにした。インドールは細菌に対し酸化ストレスを与えるが,インドールの酸化ストレス作用はRamRによるRamAの抑制解除に無関係であることが分かった。一方で,酸化剤であるパラコートはRamAでなくSoxS依存的にAcrABを誘導することが分かった。パラコートはSoxSを大量に誘導することから,パラコートはSoxSを大量に誘導することで,RamAによるAcrAB誘導効果を消失させる可能性が考えられる。 AcrAB誘導機構を詳細に理解するには,AcrAB発現制御因子の構造情報を知る必要がある。そこで,本年度は,RamAおよびRamRの結晶化を行った。RamAに関しては様々な発現系を試したが,どの発現系においても発現RamAのほとんどが封入体を形成し,結晶化に必要な量を確保できなかった。現在,封入体RamAのリフォールディング条件の検討を行っている。一方,RamRに関しては,水溶性画分にRamRを大量に発現する発現系を構築することができた。RamRをnative formで精製し,結晶化を行ったところ,RamR結晶を得ることができた。X線回折実験を行ったところ2.0Åほどの分解能を持つことが分かった。しかしながら,得られた結晶は複合結晶であったため,構造解析には適さなかった。そこで現在,RamR結晶化の最適条件の検討を行っているところである。
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Research Products
(5 results)