2008 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.エレガンスをモデル系としたイノシトールを介した極性的シナプス局在機構
Project/Area Number |
08J04654
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木全 翼 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス形成 / イノシトール / 線虫C.elegans / IMPase / 躁うつ病 |
Research Abstract |
本研究者はイノシトール経路を介したシナプス局在制御機構の解明を目的に、遺伝学的解析を行なった。これまでに、イノシトール合成酵素であるIMPase/TTX-7を欠失する線虫のttx-7変異体は、頭部のRIAニューロンにおいて、シナプス構成タンパクの局在異常を示すことが明らかにされていたが、IMPase/TTX-7がシナプスの細胞内局在を制御する分子メカニズムについては明らかになっていない。IMPaseは、躁うつ病の治療薬である、リチウムの主要なターゲットとされており、IMPaseの生体内での機能の解明はシナプス局在機構の解明だけにとどまらず、躁うつ病の発生メカニズムの解明にもつながる重要な研究である。本研究者は、年次計画に従いttx-7変異の抑圧変異体スクリーニングを行い、5系統の抑圧変異体を単離した。このうち、nj77変異について、原因遺伝子の同定を試みた結果、nj77変異は、ホスホリパーゼCβ(PLCβ)をコードするegl-8遺伝子に存在していることが示された。さらに、既知のegl-8変異体とttx-7変異体との二重変異体を作成したところ、ttx-7変異体のシナプス局在異常が抑圧され正常な表現型を示すことが明らかになった。egl-8遺伝子のcDNAを、egl-8;ttx-7二重変異体のRIAニューロン特異的に発現させたところ、ttx-7変異体の表現型を示したが、RIA以外のニューロンで発現させても表現型に変化は見られなかった。このことから、PLCβ/EGL-8のRIAニューロンでの機能がシナプス局在に関与していることが示された。PLCβはPI(4,5)P_2を分解し、DAGとIP_3を合成する酵素である。これまでの研究で、DAGとIP_3に関係する変異体でシナプス異常が観察されていないことから、PIP_2がシナプス局在制御機構で重要な働きをしている可能性が新たに示された。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Temperature sensing by an olfactory neuron in a circuit controlling behavior of C. elegans2008
Author(s)
Kuhara, A., Okumura, M., Kimata, T., Tanizawa. Y., Takano, R., Kimura, K. D., Inada, H., Matsumoto, K., Mori
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Journal Title
Science 320
Pages: 803-807
Peer Reviewed
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