2010 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.エレガンスをモデル系としたイノシトールを介した極性的シナプス局在機構
Project/Area Number |
08J04654
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木全 翼 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス / IMPase / 躁鬱病 / 線虫C.elegan |
Research Abstract |
本研究者は、イノシトール経路を介したシナプス局在制御機構の解明を目的に、線虫を用いた遺伝学的解析を行なった。本研究室では、これまでに、イノシトール合成酵素であるIMPase(TTX-7)を欠失するttx-7変異体が、線虫頭部の中枢神経特異的に、神経細胞内でのシナプス構成タンパク局在異常を示すことを明らかにしていたが、IMPaseがシナプス因子の細胞内局在を制御する分子機構については明らかになっていない。IMPaseは躁うつ病の関連遺伝子でもあり、その生体内での機能解析は重要な研究である。本研究者は、ttx-7変異の抑圧変異体スクリーニングを行い、PI(4,5)P_2分解酵素であるホスホリパーゼCβ(PLCβ)の線虫ホモログをコードするegl-8遺伝子の変異が、ttx-7変異体の行動異常、シナプス異常をともに強く抑圧することを明らかにした。さらに、PI(4,5)P_2の脱リン酸化酵素であり、IMPase同様、躁うつ病への関与が指摘されているSynapto janin(UNC-26)の解析を行ったところ、unc-26遺伝子の変異はttx-7変異体の異常を抑圧することが明らかになった。また、シナプス小胞タンパクの局在異常は、シナプス小胞を輸送するモータータンパクの機能を欠失させても、引き起こされることが明らかになった。これらの結果は、生体内で多様な機能を果たしているPI(4,5)P_2が、新たに、シナプス構成因子の細胞内局在をモータータンパク非依存的に制御している可能性を示している。
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Research Products
(1 results)