2009 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.エレガンスをモデル系としたイノシトールを介した極性的シナプス局在機構
Project/Area Number |
08J04654
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木全 翼 Nagoya University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シナプス形成 / イノシトール / 線虫C.elegans / IMPase / 躁うつ病 |
Research Abstract |
本研究者は前年度に引き続き、イノシトール経路を介したシナプス局在制御機構の解明を目的に、線虫を用いた遺伝学的解析を行なった。これまでに、イノシトール合成酵素であるIMPase/TTX-7を欠失する線虫のttx-7変異体は、頭部のRIAニューロンにおいて、シナプス構成タンパクの局在異常を示すことが明らかにされていたが、IMPase/TTX-7がシナプスの細胞内局在を制御する分子メカニズムについては明らかになっていない。IMPaseは躁うつ病の治療薬であるリチウムの主要なターゲットとされており、IMPaseの生体内での機能を解明することはシナプス局在機構の解明だけにとどまらず、躁うつ病の発生メカニズムの解明にもつながる重要な研究である。本研究者は、前年度までに、ttx-7変異の抑圧変異体スクリーニングを行い、ホスホリパーゼCβ(PLCβ)の線虫ホモログをコードするegl-8遺伝子の機能欠失変異が、ttx-7変異体の行動異常、シナプス異常をともに強く抑圧することを明らかにした。PLCβはPI(4,5)P2を分解し、DAGとIP3を合成する酵素である。これまでの研究で、DAGとIP3の関連変異体ではシナプス異常が観察されていないことから、PIP2がシナプス局在制御機構で重要な働きをしている可能性が新たに示された。そこで、PI(4,5)P2の脱リン酸化酵素であり、IMPase同様躁うつ病への関与が指摘されているSynaptojanin/UNC-26の解析を行ったところ、unc-26遺伝子の機能欠失変異はttx-7変異体のシナプス異常を部分的に抑圧することが明らかになった。Synaptojaninは前シナプス末端においてエンドサイトーシスの制御を行っていることが知られており、今後PIP2を核としたエンドサイトーシス経路とシナプスタンパクの局在化の関係を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(3 results)