2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J04657
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
戸井田 さやか Tokyo Medical and Dental University, 大学院・生命情報科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 遺伝子キャリア / 高分子キャリア / 多糖 / サイクロアミロース |
Research Abstract |
本研究は大環状多糖であるサイクロアミロース(CA)のドラッグキャリアの開発を目的とする。CAは重合度9-数百に及ぶ環状グルコースである。生分解性を示すこと、水溶性が直鎖アミロースよりも高いこと、物質包接能を有する等の特徴が挙げられ、バイオマテリアルとしての応用展開が期待される材料である。本年度は機能化CAによるプラスミドDNA(pDNA)キャリアの開発を試みた。pDNAや細胞と相互作用させるために、カチオン性基としてspermineを修飾したCA(CA-spermine)を用いた。複合体のサイズおよびゼータ電位を動的光散乱光度計により測定したところ、CA-spermineとpDNAとの複合化比によってサイズ制御が可能であり、約250-300nmの正電荷を有する複合体粒子が調製できた。次に複合体をCOS7(サル腎臓由来細胞)に導入した。導入48時間後のpDNAの遺伝子の発現効率を評価したところ、直鎖アミロース-spermine/pDNA複合体に比べ有意に高い発現効率を示した。また、細胞内のエンドソーム脱出促進剤として知られる低分子薬剤との作用により遺伝子発現効率が向上し、高い発現効率を示すカチオン性ポリマーであるPEIに匹敵した。さらに、CAの分子量やspermine修飾率によって発現効率が異なり、複合体の物理化学的性質と遺伝子発現効率との関係が見出された。複合体導入細胞の毒性試験を行ったところ、高い遺伝子発現効率を示した条件で約90%以上の高い細胞生存率であった。以上のことから、CA-spermineは新規遺伝子キャリアとして機能することが明らかになった。また機能化CAはpDNAに限らずsiRNA等の種々の核酸キャリアとしての有用性も示唆され、核酸キャリアとしての応用展開において重要な知見が得られた。
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Research Products
(8 results)