2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間的に密な偏光観測によるX線連星ジェットの可視シンクロトロン放射の探査
Project/Area Number |
08J04660
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永江 修 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線連星 / 可視光 / X線 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は大きく二つに大別される。一つは、広島大学1.5m「かなた」望遠鏡に可視偏光撮像装置「HOWPol」を取り付けたことである。私は「HOWPol」の開発の初期段階から主メンバーの一人として様々なことを担当してきた。「HOWPol」は、従来の偏光装置が偏光パラメータを得るのに4回の露光が必要だったところ、1回の露光で偏光のパラメータを決定できる画期的な装置である。これにより、ガンマ線バーストなど時間変動が激しい天体の偏光も捉えることが出来る。「HOWPol」は試験観測を終え、本格的観測が開始されたところである。二つ目は、非常に暗い(静穏状態)X線連星4U 1700+24から、降着円盤からの放射があることを突き止めたことである。静穏状態のX線連星を精度よく観測した例はほとんどなく、降着の描像やスペクトルの一般的解釈がなされていない。そこで私はX線天文衛星「すざく」や「XMM-Newton」を用いて、観測およびデータ解析を行った。本研究は、複数の観測データを取り扱うことで、世界で初めてX線連星の静穏状態の統一的な理解を試みたものである。解析の結果、1keV以上のエネルギー帯域には中性子星表面の一部に降着した物質からの放射とその逆コンプトン散乱成分が卓越し、1keV以下には降着円盤からの放射を逆コンプトン散乱している成分が卓越していることがわかった。理論的には、静穏状態では降着円盤はほとんどない状態であると予想されていたので、本研究結果は静穏状態でも降着円盤を存在させるような理論を新たに要求する重要な発見となった。現在、本結果についてまとめており、近日中に論文を投稿する予定となっている。
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Research Products
(3 results)