2009 Fiscal Year Annual Research Report
時間的に密な偏光観測によるX線連星ジェットの可視シンクロトロン放射の探査
Project/Area Number |
08J04660
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永江 修 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線連星 |
Research Abstract |
本年度は、平成21年度に行ったX線連星4U 1700+24の解析結果を、より詳細に議論することや、私が修士時代より可視偏光分光観測を行っていたX線連星LS I+61 303の「すざく」衛星による観測結果をまとめた。まず、4U 1700+24についてだが、去年度までは1keV以下に検出されていた複数の輝線を、高階に電離された酸素(O VIIIおよびO VIIのKα線)、窒素(N VIIのKαとKβ線)、炭素(C VIのKβ線)および中性酸素(O IのKα)の輝線であると報告していたが、その後の詳しい議論により窒素や炭素のKβ輝線は、それぞれ重力赤方偏移したO VIIIおよびN VIIのKα線である可能性が非常に高いということを示した。次に、LS I+61 303についてであるが、2009年1月に3回観測を行った。本観測は、電波からガンマ線にわたって行われた多波長同時観測の一部でもある。1回目は、近星点と遠星点の中間あたり、2回目は遠星点、3回目が近星点を観測した。観測されたX線光度やスペクトルは過去様々な衛星により行われた結果とコンシステントなものだった(光度~10^<34>erg/s、スペクトルはPower-lawで冪~1.7-1.9)。ただ、今回わかった特徴的な結果として、近星点の観測にだけ星間吸収量の度合いを示すパラメータ(NH)が過去の結果と比較しても大きくなっていることがわかった。本結果のようにNHの有意な変動をとらえられたのは、「すざく」衛星によって1ke以下のエネルギー帯域が詳細に観測されたためであり、我々が知る限り世界初の観測例である。
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Research Products
(3 results)