2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内中間代謝物の同位体標識情報に基づく代謝制御機能の解析
Project/Area Number |
08J04722
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸谷 吉博 Keio University, 大学院・政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 代謝流束解析 / 同位体標識実験 / 回分培養 / 大腸菌 / 中心炭素代謝経路 / CE-TOFMS / ピルビン酸キナーゼ欠損株 / グルコース6リン酸イソメラーゼ欠損株 |
Research Abstract |
微生物の代謝を改変して有用物質の生産性を向上させるには,微生物細胞の生理機能や目的物質の生合成に関係する調節制御を理解することが重要である.代謝流束解析は,直接観察することが出来ない細胞内の代謝物質の流れ(代謝流束)を明らかにし,代謝の制御機構の推察を可能にする手法である.しかしながら,従来のタンパク質構成アミノ酸の同位体標識情報に基づく代謝流束解析は,連続培養という特殊な培養条件にしか適用できず,産業上重要な回分培養や流加培養には適用できなかった.加えて,有用な代謝物質の多くは細胞増殖が終了した後の停止期において生産されるため,代謝流束の変化を評価するための方法の確立が望まれている. 本年度,私は細胞内中間代謝物質の同位体標識情報を直接測定し,代謝流束解析に利用することで回分培養において代謝流束解析が可能であることを示した.私は,野生株大腸菌を対象としてグルコースを基質とした回分培養(同位体標識実験)を行い,中間代謝物質の同位体標識情報の時間変化を測定した.また,グルコース枯渇後の停止期についても代謝流束解析を行なうため,停止期に細胞が取り込む培養液中の酢酸の同位体分布比を測定する方法を開発した.これらの測定した情報に基づいて,細胞増殖期から停止期に至るまで代謝流束分布の時間変化を推定し,細胞が自身の生き残りのために合理的な代謝を行なっていることを考察した.また本研究の応用として,大腸菌ピルビン酸キナーゼ欠損株とグルコース6リン酸イソメラーゼ欠損株についても野生株と同様の解析を行い,代謝流束分布や中間代謝物質濃度の時間変化から,遺伝子欠損が代謝経路に与えた影響を明らかにし,細胞内の代謝調節メカニズムについての考察を行なった.
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Research Products
(3 results)