2009 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性神経伝達に関わる受容体の機能的構築に関する研究
Project/Area Number |
08J04754
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 誠 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | PRIP / GABA_A受容体 / 抑制性神経伝達 / インスリン / 細胞内小胞輸送 |
Research Abstract |
脳、中枢神経系においては、GABA_A受容体が抑制性神経伝達の主要な部分を担っており、この受容体の細胞膜上での量的変化が、抑制性神経伝達の可塑性(ひいては脳、精神機能)を調節する上で、非常に重要であると考えられている。本研究では、GABA_A受容体の細胞膜上での動的平衡を制御する分子基盤を理解することを目的に、先に我々がGABA_A受容体の細胞内輸送に関与していることを報告したPRIP分子を中心に解析を行った。昨年までの研究により、PRIPノックアウトマウスでは、インスリン刺激によって惹起されるGABA誘導性電流の増加(GABA_A受容体の細胞膜への輸送)が見られないこと、この現象に、タンパクキナーゼAktによるGABA_A受容体のリン酸化が関与している事を明らかにしていた。そこで、 1.PRIP/Akt/GABA_A受容体の三者複合体形成を解析したところ、三者複合体形成が確認された。また、この三者複合体形成がインスリン刺激によって増強されること、その分子基盤として、活性化型Aktのみが特異的にPRIPと結合することを明らかにした。 2.PRIPペプチドを用いて、PRIPとGABA_A受容体の結合を阻害したところ、野生型ニューロンにおいて、インスリン刺激によって惹起されるGABA誘導性電流の増加が消失した。 これらの結果から、インスリン刺激によって惹起されるGABA_A受容体の細胞膜への輸送の過程において、PRIPは、活性化型AktをGABA_A受容体近傍へとリクルートする足場タンパク質として働くことにより、GABA_A受容体のリン酸化、細胞膜輸送を制御している事が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)